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引用元:2015/10/18 08:00 神戸新聞NEXT

 学校給食で異物混入が発覚した場合、多くの自治体が明確な公表基準を持っていないことが分かった。中学校で異物混入が相次いだ神戸市は「健康被害がない」として、金属片の混入も公にしていなかった。各自治体は「公表は混入の中身や規模による」としているものの、基準はあいまい。保護者からは不安の声が上がる。

 兵庫県内では、全41市町の公立小学校で完全給食を実施。公立中学校は昨年5月時点で37市町・組合が導入済み。神戸市の異物混入を受け、県教育委員会は今月13日、市町に衛生管理を徹底するよう通知したが、公表するかどうかは「実施主体に任せている」という。

 神戸市教委は異物混入が見つかるたび、当該生徒の保護者に謝罪するなどしてきたが、この問題を神戸新聞が報道するまで、記者発表などでの公表はしてこなかった。昨年11月から今年7月までに分かった86件のうち、ビニール片・紙片16件、虫11件、金属片1件などがあったが、公表を見送ってきた理由として健康被害がないことを挙げた。

 同市PTA協議会の加地幸夫会長(44)は「保護者の立場からすれば、細かなことでも正確に、迅速に公表してほしい。隠すと逆にうわさが広まり、不安をあおる」と話す。

 他の市町はどうか。

 今月から中学校給食を導入した芦屋市教委は取材に対し、明確な基準はないとした上で「金属片など、食べて危険なものは公表したい」とした。髪の毛や虫などは原則として公表対象にはしていないという。西宮、洲本市教委などもマニュアルなどはなく「その都度判断する」とした。

 一方、豊岡市教委は昨年4月、給食事故などに関する対応マニュアルを策定。異物混入の件数を保護者代表らに伝えている。ただ、その都度の公表は内容による、という。

 また、大阪市教委も今年8月、昨年度からの中学校給食の異物混入件数をその後の対策とともに公表。同市教委は「公表で不安が広がる懸念もあったが、対策で件数が減ったことを知らせたかった」と説明する。

 文部科学省は公表基準を定めておらず、「各自治体の判断」としている。異物混入は近年、外食や食品業界でも社会問題化。混入で売り上げが落ち込んだ日本マクドナルドは今年4月、健康被害の恐れがなくても公表する方針を示した。(上田勇紀)

 【清水典子・神戸女子大学准教授(給食経営管理論)の話】

 公表により風評被害が広がる恐れもあり、どこで線を引くかは難しい問題だ。だが今は「食の安全」が叫ばれる時代。これからは一定の基準が必要になるだろう。自治体がもっと情報を公開し、異物混入への対応を示すことが、逆に給食への信頼性を高めることにつながるのではないか。

 【神戸市の中学校給食の異物混入】

 昨年11月に市内33校で先行導入した中学校給食で、今年7月までに86件の異物混入があったことが今月、判明した。調理・配送を委託している2業者のうち、異物混入の約9割を占めた業者が提供していた27校について、市教委は13日から給食を一時停止している。