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引用元:2015年10月15日09時24分 朝日新聞デジタル

 長崎県諫早市で2001年に小学校1年の女児(当時7)が殺害された事件をめぐり、加害者の吉岡達夫受刑者が事件後の民事訴訟で命じられた賠償金を一度も支払っていないとして、女児の遺族が吉岡受刑者を相手取り、同額の賠償を求める訴訟を改めて福岡地裁に起こした。

 提訴は9日付。原告代理人によると、賠償を命じた判決は来年1月で確定から10年を迎え、民法の規定で失効するため、同じ内容の訴訟を起こした。専門家によると、遺族がこうした訴訟を起こすのは珍しいという。

 吉岡受刑者は下校中の女児を連れ去って殺害したなどとして無期懲役の判決を受けた。遺族は吉岡受刑者に損害賠償を求める訴訟を長崎地裁大村支部に起こし、05年12月に約7千万円の賠償を命じる判決があり、翌年1月に確定した。

 女児の父親(60)によると、吉岡受刑者から支払いや謝罪は一度もないという。「10年たって終わったと思っているかもしれないが、娘の命はそんなに軽くない。娘の名誉を守るために提訴した」と話す。

 犯罪被害者支援に詳しい諸沢英道・常磐大国際被害者学研究所教授によると、被害者や遺族に賠償が支払われないことは少なくないが、再び民事裁判を起こすのは珍しいという。「犯罪の損害賠償に時効があるのは法制度の欠陥。賠償しないと仮釈放しないといった、法改正や被害者支援の充実が求められる」と話す。(山野健太郎)