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引用元:毎日新聞 2015年10月05日

 学校での子どもの突然の心停止が年間100件以上起きていることから、自動体外式除細動器(AED)の使い方を学校で教えるような救命教育の充実を求める声が高まっている。日本臨床救急医学会などが9月に教員を目指す大学生への実技研修の必修化を提言。さいたま市の市立小学校で2011年に運動場で倒れ、AEDが使われないまま亡くなった当時6年生の女児の遺族は、命日の9月30日に下村博文文部科学相と面会し、「命をつなぐ教育」の重要性を訴えた。【三木陽介】

 「この事故は決して人ごとではなく誰にも起こり得る。いざという時にAEDを使える体制を構築してほしい」。さいたま市の小学校で亡くなった桐田明日香さん(当時11歳)の母寿子さん(44)は大臣室で下村文科相に要望した。

 明日香さんは放課後、学校の運動場で駅伝の練習中に倒れた。けいれんや、あえぐような呼吸が見られたため、教員は「呼吸がある」と判断して心臓マッサージなどの心肺蘇生をせず、学校にあったAEDも使われなかった。11分後に救急隊が到着した時は心肺停止状態で、翌日、亡くなった。

 同学会によると、あえぐような呼吸は「死戦期呼吸」と呼ばれ、心停止直後に現れることがある。教員はそれを「呼吸がある」と勘違いしたとみられる。

 寿子さんは事故後、「だれかが命をつなぐ動きをしてくれれば」と救命教育の普及のため講演活動を続ける。さいたま市は再発防止のため寿子さんの協力を得て教職員向けに緊急時の対応を盛り込んだテキスト(「ASUKAモデル」)を作製。12年度から市立の中高生を対象に、14年度からは小学5、6年生に心肺蘇生の実技講習授業を実施している。

 文科省は心停止の発生件数は把握していないが、日本学校保健会によると、小中高校でAEDが使われた事例は08〜12年度で522件あるという。日本臨床救急医学会と日本循環器学会は、心肺蘇生やAEDの使い方について、小中高校での指導強化や、教員志望の大学生に対する必修化などを提言している。両学会によると、心臓停止による突然死は年間約7万人に上るが、心肺蘇生とAEDを使用すると何もしない場合に比べて助かる確率は4倍になるという。