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引用元:毎日新聞 2015年10月03日 15時48分

 神戸市北区の住宅街の路上で2010年、高校2年だった堤将太さん(当時16歳)が殺害された事件は未解決のまま、4日で発生から5年を迎える。「犯人を捕まえたと将太に報告したい。真相が知りたい」。父敏さん(56)が情報を求めて自宅や事件現場の周辺で配った自作のビラは、2万枚を超える。

 敏さんは事件の1年後、将太さんの命日の前後に手作りしたビラを配り始めた。その翌年からは、将太さんの同級生らが手伝ってくれている。自宅の居間には、自宅や現場を含む半径約1キロにある6000世帯分の住宅地図が張られ、ビラを配った日付が記された付箋が区画ごとに付けられている。

 今年のビラには初めて将太さんの顔写真を掲載し、命日の4日にかけて配っている。5年が過ぎ、事件が風化したと感じることもある。「『あの事件』ではなく、『将太の事件』と伝えたい」。それが父親の務めだと思うからだ。

 忘れられない出来事は15年ほど前。電気設備会社を営み、多忙だった敏さんは、珍しく仕事を早く終えた。学校帰りの将太さんと2人で買い物に行き、食事をした。その夜、妻の正子さん(58)から「初めて2人でお出かけしてうれしかった」と将太さんが喜んでいたと知らされた。幼い頃に父親を亡くした敏さんは以降、「父親のあるべき姿」を強く意識するようになった。

 10年夏、高校生になった将太さんを初めて仕事の現場に連れ出した。将太さんはすぐに仕事仲間とも打ち解けた。「お父さんと同じ仕事をするか」と尋ねたら、「ええの?」と答えた。それから間もなく事件は起こった。

 この5年間、「何人にでも会って話を聞きたい。情報がほしい。どこかに必ず、犯人はいるのだから」と活動を続けた。同級生はこれから就職し、親になっていくが、敏さんの時間は止まったままだ。「なぜ将太が」という思いは消えない。【神足俊輔】

 【ことば】神戸市北区高校生殺害事件

 2010年10月4日午後10時40分ごろ、神戸市北区筑紫が丘4の路上で、堤将太さんが交際していた少女と座って話していたところ、無言で近寄ってきた男に突然、頭や首を複数回刺されて死亡した。逃走した犯人の特徴は20代後半〜30歳、身長160〜170センチくらい。小太り、目が細く眉毛が濃く、老け顔で髪の毛が多く、癖毛。情報提供は兵庫県警神戸北署捜査本部(078・594・0110)。