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引用元:毎日新聞 2015年10月02日 10時01分

 岐阜市で開かれた陸上の全日本実業団対抗選手権(毎日新聞社共催)の女子100メートル障害で、2013年の世界選手権モスクワ大会代表の紫村(しむら)仁美(24)=東邦銀行=が13秒40で初優勝を果たした。地元の佐賀県で教員を務めてきたが、今夏に「五輪で戦いたい」と一念発起して退職。強豪・東邦銀行(福島)へ移籍して新たなスタートを切った。

 紫村は佐賀県鳥栖市出身。13年に早大を卒業後、佐賀県立三養基高で保健体育の教諭になった。練習は仕事を終えた午後5時ごろから陸上部の生徒と一緒に取り組んだ。仕事面でも担任を外してもらう配慮を受けたが、自己ベストは13年の日本選手権で出した日本歴代2位タイの13秒02。2年間、記録を伸ばせずにいた。

 転機は昨冬。定期的に参加していた東邦銀行の合宿で、五輪選手を育ててきた川本和久監督から「ウチに来ないか」と誘われた。「正教員で辞められない」と一度は断ったが、毎日、川本監督の指導を受けられる練習環境に心を動かされ、今春、再び勧誘を受けて移籍に踏み切った。紫村は「誘われたことも縁。人生、後悔したくない。失敗するなら、やって失敗する」と心境を明かした。7月末に退職し、8月1日付で東邦銀行に入った。

 退職直前の高校の終業式。壇上に上がった紫村は「五輪に出るだけでなく、勝負したい」と生徒たちに初めて思いを伝えた。生徒は突然の退職に驚いたが、「紫村先生が決めたこと。頑張ってください」と背中を押してくれた。リオデジャネイロ五輪の参加標準記録は13秒00。日本記録を出さなければ五輪の道は開けないが、紫村は「(日本人初の)12秒台を出すしかない。人生をかけて移籍した。背水の陣です」と覚悟を決めている。【小林悠太】