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引用元:毎日新聞 2015年09月29日 23時47分

 来年夏の参院選から投票できる年齢が「18歳以上」に引き下げられるのを受け、文部科学省が主権者教育の副教材と教員向けの指導資料を作成し、29日公表した。討論や模擬選挙など実践的な授業の仕方が紹介され、現場の教員は「若い世代が選挙に関心を持つきっかけになれば」と期待する。一方、専門家は「模擬投票などを単なる『ごっこ遊び』に終わらせず、日々の学習の中で生の政治をいかに扱うかが重要」と課題も指摘した。【高木香奈、佐々木洋】

 副教材は、選挙の仕組みなどを説明する「解説編」▽模擬選挙や模擬議会の仕方などを紹介する「実践編」▽公職選挙法の規定などをまとめた「参考編」で構成、約100ページ。文科省のホームページで公表するほか、12月までに全高校生に配布する。教員向けの指導資料では「一つの主張に誘導することを避ける」など政治的中立性を確保するための留意点も挙げた。

 12年前から国政選挙に合わせて学校全体で模擬選挙をしている芝浦工業大学柏高校(千葉県)の杉浦正和教頭(63)は「学校現場には生の政治を扱いにくい雰囲気があったが、国が副教材を出したことで、現実の政治課題に関心を持たせる取り組みが盛んになる」と期待する。ただ、不満もあるという。教員向けの指導資料が「一つの結論を出すよりも、結論に至るまでの冷静で理性的な議論の過程が大切であることを理解させる」と注文した点だ。杉浦教頭は「議論を通じて意思決定することが、責任を持って社会にかかわることにつながるという点にまで踏み込むべきだと感じた」と話す。

 また、杉浦教頭は「今まで政治を取り上げてこなかった教員にとっては模擬議会や模擬請願をするのは難しくてハードルが高いだろう。新聞の活用の仕方など、社会問題を取り上げる手法をもっと具体的に説明した方が良かった」と指摘する。

 ◇論争あるテーマ扱って

 副教材の作成に協力した模擬選挙推進ネットワーク事務局長の林大介・東洋大助教(政治学)の話 これまで主権者教育は熱意のある一部の先生が取り組み、現場では「大切だけれども、やれるところがやればいい」という雰囲気だった。学校で主権者を育てる必要性が認められた点は大きな意味がある。

 ただ、副教材で取り上げた模擬選挙などの実践例は主権者教育における一つのプログラムに過ぎない。日ごろの学習活動の中で安保関連法のような大きな政治課題だけでなく、地域の課題についても考えたり意見を言い合ったりする授業を積み重ねることが民主主義を深めていく。政治的論争のあるテーマでも、生徒に多様な意見を示しながら萎縮せず取り組んでほしい。

 社会科系の教員だけに任せるのではなく、原発に関する討論を物理の時間にしたり、新聞の論説を題材にした読解を国語の授業で行ったりするなど、すべての教員が主権者を育てる意識を持つことも大切になる。