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引用元:2015年09月22日 14時40分 読売新聞

 山形県酒田市は来年度から、高卒で採用した市職員のうち希望者を対象に、同市の東北公益文科大学(酒田市)に、割安で入学できる制度を導入する。

 市や同大によると、自治体が職員を大学に進学のために派遣する制度は全国で初めて。若者の流出に悩む市側と、定員割れに苦しむ大学側の双方の課題を解決する狙いがある。

 この制度では、入学金27万円が免除され、授業料など年間85万円の学費も半額となる。日中は大学に通い、夏休みなど長期間にわたって授業がない時は総務課付として業務にあたる。月に1度、研修リポートの提出を義務づける。給与は通常勤務した場合と同様に支払われる。

 市総務課によると、高卒で市職員(行政職)の採用試験をパスしたのは、2013年度は受験者22人中4人、14年度は26人中3人で、「狭き門」となっている。筆記試験は成績優秀で、面接でも働く意欲の高い人材が集まるという。市は、意欲的な職員を大学に派遣することにより、「住民ニーズの調査手法や具体的な施策の立案など、職員として必要な力を養うことができる」と期待を寄せる。

 今回の制度導入の背景には、自治体と大学ともに悩む「若者の確保」の問題が背景にある。酒田市を含む庄内地方では、若年層の地域外流出が深刻だ。県庄内総合支庁が昨年卒業した高校3年生に対して行ったアンケートによると、進学を希望する1207人のうち、同地方で進学を決めたのは99人(8・2%)、就職希望の680人のうち、地元で就職したのは416人(61・2%)にとどまる。

◇定員割れ対策 大学側も歓迎

 大学側にとっても、入学料や授業料を減免してでも市職員を受け入れたい事情がある。同大によると、定員は235人だが、今年度は182人、昨年度は169人と、近年は定員割れが続いている。市職員に適用される入学金全額と授業料などの半額免除は、一般の学生であれば入試で上位に入る一部の特待生と同じ待遇という。吉村昇学長は、「優秀な人材はぜひとも受け入れたい」と強調し、「経営、政策、社会福祉など行政と関係のあるコースがたくさんある。4年間で立派な社会人に育てて市役所に送り出したい」としている。