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引用元:2015年09月22日 河北新報

◎苦悩する教育現場/(下)疲弊

<家庭ないがしろ>
 仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=がいじめを苦に自殺した問題をめぐり、市教委の第三者委員会は報告書で学校対応の問題点を挙げる一方、当時の状況についてこう言及した。
 「男子生徒の件以上に注意を要する生徒間トラブルがあった」
 「教職員が置かれる多忙の中では優先順位を付けて対応することはやむを得ない面がある」
 教師たちが、授業や部活動と並行して生徒指導に追われていた様子がうかがえる。
 市教委の内部資料によると、2014年度に市立学校の教職員が勤務時間外に在校した時間は月平均で小学校37時間、中学校67時間、高校46時間。いずれも増加傾向にあり、中学は突出して多い。
 市内の中学校で学年主任を務める男性教諭(56)は「試験問題の作成や採点、評価を勤務時間内にする余裕はなく、自宅に持ち込む。土日の休みは顧問を務める部活でつぶれる。家庭は正直ないがしろだ」とこぼす。不登校の生徒も多いといい、「生徒や保護者への個別対応に膨大なエネルギーを使う」と打ち明ける。
 市内の別の中学校の男性教諭(59)は「生徒指導が優先され、授業が軽んじられている」と自嘲気味に話す。「時間的、精神的余裕をなくしている教師が生徒を追い詰めていないか心配だ」と顔を曇らせた。

<心の病 57人休職>
 教育現場の疲弊は、病気休職した教職員数に表れている。14年度は市立小中学校と高校で計168人が病休に入り、うち57人は心の病が原因だった。
 小学校長の経験がある市内の60代男性は「いじめをめぐり、保護者からの苦情などを気に病む教師は少なくない。(病休で)一人が倒れると他の教師にしわ寄せが及ぶ」と語り、多忙と疲弊の悪循環を指摘する。
 事態の改善に向け、校長と教育委員会の奮起を促すのは市内の公立高校の男性校長。「校長に責任を取る姿勢がなければ教頭以下の先生は混乱する。教委も命令するだけで責任を取ろうとしない。校長と教委の責任の所在と範囲が明確になっていない」と言う。
 今回の自殺では、遺族の意向を踏まえた市教委の判断で学校名などが非公表のままとなっている。前出の男性教諭(56)は「当該校の教師は生徒にきちんと説明したいはずだ。その責任を果たせず、苦しんでいると思う」とおもんぱかった。