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引用元:2015/06/18-11:00 時事通信社

 イスラム教の戒律にのっとった製品である「ハラル食」を提供する大学が増えている。ムスリム(イスラム教徒)の留学生増加に伴い大学側が検討、対応してきたものだが、ムスリムへの日本人学生の関心を高める効果も期待できるという。

 上智大学(東京都千代田区)は日本イスラム文化センターから「ハラル認証」を受けた業者が提供する「ハラル弁当」の販売を今年4月に開始した。同大の留学生のうちムスリムの学生は約30人だ。

 年々増加傾向にあるムスリムの留学生に対応すべく、同大は昨年、ムスリムの学生に聞き取り調査を開始した。その結果「昼食は学食で白米とサラダしか食べることができない」、「コンビニで昼食を買うにも友人に原材料を確認してもらう必要がある」など、食生活に苦労している実態が判明。これを機に「ハラル弁当」の販売に乗り出した。

 食材にはイスラムの戒律で禁止される豚肉やアルコールなどが入っていない。同大から弁当の委託を受けた業者は調味料としての酒を使わずに、はちみつを混ぜて甘みを出すなど工夫を重ねた。ムスリムの学生が気軽に購入できるように価格も300円~500円に抑えた。

 当初は鶏のからあげやハンバーグ、カレーなど10種類の弁当を1日に150~170個用意。しかし販売開始から約2時間後には売り切れるほどの人気で、ムスリムの学生には予約制で弁当の取り置きサービスも始めた。

 購入者の大部分は日本人学生だが、同大財務局管財グループの正山耕介チームリーダーは「ハラル弁当は学内で身近に手に入る。小さなきっかけでイスラム教やムスリムの食習慣など異なる価値観を知る一助になる」と期待する。文学部史学科2年生の岩田園さん(19)は「私はキリスト教徒だが、他の宗教の食習慣も意識する必要があると感じた」と話す。

 神田外語大学(千葉県美浜区)は昨年4月、学食が大学施設では初めて日本アジアハラール協会から「ムスリムフレンドリー」の認証を受けた。「ムスリムフレンドリー」とは厨房や料理人、食器の選別まで求めらるハラル基準を部分的に満たす施設に与えられる認証。

 同大に通うインドネシアからの留学生ロッビ・フェルリアンディさん(22)は「学食ではハラルマークが付いているので安心して食べられる」と歓迎する。「友人と学食でハラル食やムスリムについて話す機会ができて、私たちの文化を理解してくれるようになってきた。それがうれしい」と笑顔を見せた。

 同大では土日の週末に学食を地域の一般客にも開放している。同大広報部の渡邉公代さんは「ハラル食を通じて、一般の方にも異文化を学んでほしい」と話している。