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引用元:2015.9.27 09:49 産経ニュース

 東京都港区の自宅マンションで平成18年6月、都立高2年の市川大輔(ひろすけ)さん=当時(16)=がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われたシンドラーエレベータの点検責任者、原田隆一被告(46)ら4人の判決が29日、東京地裁で言い渡される。事故から9年以上が経過してようやく迎える判決を前に、大輔さんの母、正子さん(63)は「事故は防ぐことができた」との思いを強くしている。

 約180万段。正子さんは事故後、エレベーターに全く乗れなくなった。自宅はマンション12階だが、外出の際には非常階段を利用している。1回往復すると528段になり、1年で約19万段。事故から9年3カ月が経過し、少なくともこれまでに刻んだ段数だ。

 非常階段のドアは閉め切られた状態になっており、夏場は夜でも4階に設置した温度計で30度以上になることは珍しくない。「汗だくになり息も苦しくなる。でも憤りや悲しみ、無念の思いなどを抱えながら階段を歩いてきた」と振り返る。

  国、警察…調査する機関なし「生活に身近な乗り物なのに…」

 事故当日のことを思い出すことは今でもつらく、「体が覚えているので救急車の音が近づいてくるだけで動悸(どうき)がする。この約9年間ずっとそうだ」。

 公判は、検察側が鑑定をやり直すなど公判前整理手続きが長期化し、25年3月にようやく開始された。1カ月後には一緒に訴えてきた夫を亡くした。計57回開かれた公判には、全て出席してきた。「息子の命を無駄にできないという思いだった」といい、裁判で判明した情報から「間違いなく利用者の命をないがしろにしていた状況があり、被告らは安全のための情報を共有していなかった」と話す。

 「なぜ事故が起きたの」「何が原因なの」「なぜ防げなかったの」「点検は何をやっていたの」…。事故後、国土交通省に「調査してほしい」と訴えたら「事故の調査機関ではない」と断られ、警察には「捜査中」と回答されるだけだった。

 「生活に身近な乗り物なのに調査する機関はどこにもなかった」。仲間ら支援者の支えもあり、46万人分の署名を集め、国に働きかけた。消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)で初の調査対象になった。「事故調でも初めは対象外といわれた。でも、『息子の事故の教訓を無駄にしないでほしい』との思いでずっと前を向いて歩いてきた」という。

 大輔さんは今でも心の中に生き続けている。「いつも共に歩いているので、一緒に判決を聞きたい」



【用語解説】シンドラーのエレベーター事故
 平成18年6月3日、東京都港区の高層マンションで、都立高2年の市川大輔さんが自宅のある12階で降りようとしたところ、エレベーターのドアが開いたまま上昇し、かごの床と外枠に挟まれ死亡した。計5人が業務上過失致死罪で在宅起訴され、25年3月に初公判が開かれた。公判中にはシンドラーエレベータの元東京支社保守部長が病死。他の4被告について弁護側はいずれも無罪を主張し、検察側はそれぞれ禁錮1年6月~1年2月を求刑した。