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引用元:2015年08月01日 読売新聞

 学校で教師が児童や生徒の体を触ったり、性的な言葉でからかったりする「スクール・セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)」。スクール・セクハラの撲滅を目指す県教育委員会では、教員らを対象に研修会を開くなど対策を進めており、一定の効果を上げているものの、生徒へのわいせつ行為で処分される教員も依然、後を絶たない。(坂場香織)

 県立平塚盲学校(平塚市)で7月に開かれたスクール・セクハラ防止の研修会。教員ら約80人が参加し、どのような行為がスクール・セクハラに当たるかを確認したほか、被害を訴える生徒役と相談された教員役に分かれ、具体的な対応の仕方を学んだ。

 講師の徳永恭子さん(68)は、専門家や教員らでつくるNPO法人「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止関東ネットワーク」のメンバー。スクール・セクハラについて「部活の顧問と部員、教職員と教育実習生といった上下関係の中で起こりやすい」と指摘する。具体例として〈1〉部活動や実習中に相手の体を触る〈2〉生徒の着替えや水着姿を眺める〈3〉体形などをからかう〈4〉私的なメールを何度も送る――などを挙げた。

 県教委によると、こうしたスクール・セクハラの研修会は年間100校以上の県立学校で実施されている。今回参加した平塚盲学校の鈴木綾子教頭は、「セクハラという言葉が社会に浸透し、自分も分かったつもりになっていた部分もあった。再び基礎から学べて良かった」と話した。

 県教委が県立高校や特別支援学校を対象に、2014年度に実施したセクハラ問題に関するアンケート調査では、「自分自身が被害を受けた」と回答した生徒は50人で、前年度の73人から3割減少した。県教委は「研修会や啓発ポスターなどを通じて問題行為が明確になり、抑止効果が出ているのではないか」と分析する。

 その一方で、女子生徒をドライブに連れ出してキスをするなど、児童・生徒へのわいせつ行為を理由に懲戒処分された教員(県立学校と政令市を除く小中学校)は10年度以降、年間5~8人とほぼ横ばいで推移している。

 県教委は、生徒への私的な接触を防ぐため13年3月、生徒のメールアドレスを取得する際は校長の許可を得るよう各校に通知した。今年2月からは、保護者にも事前に取得目的を説明することを義務付けるなど、対策を進めている。

 同NPOメンバーで元中学教諭の朝倉泰子さん(68)は、「生徒に良かれとしていることでも、生徒が嫌だと思えばセクハラに当たることを教員側が意識すれば、被害を減らすことができる。被害に遭った生徒が早期に相談できる環境作りも必要だ」と指摘した。