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画像と記事の引用元:TABI LABO

学ぶことだけに集中して、「あること」をやめてしまっていませんか?
13歳のジェイコブ・バーネットくんは、アインシュタイン以上のIQを持つ少年です。そして、彼には自閉症と戦っているという側面もあります。そんな彼が、過去の天才たちが「学ぶこと」よりも重視していた「考えること」の必要性について、Ted Conferenceで語りました。
ここでは、そのスピーチの内容を一部抜粋して紹介しましょう。
(記事下の動画では、スピーチのフルバージョンが視聴可能です)

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まず最初に、皆さんが伝えたいことあります。
宿題をやっていると想像してください。宿題とはやらなければいけないことです。うまくできれば良い成績をもらい、賞をもらうこともあります。でも、もしもそれが間違いだとしたら?つまり、すでにそこにあるものを受け入れるだけではなく、自分だけのユニークな視点で物事を見る必要があるしたら?

「円」を例に話をしましょう。円について、学校で何を学びましたか? 面積がπr2(パイアール2乗)なのは知っていますね。円は丸いことも知っています。それ以外では何か知っていますか? あまり知らないですよね。
ここで紹介したいのは、ジョンソンの定理と呼ばれるもの。彼は「3つの円を持ってきて、青い線が6本できるように重ねます」と言いました。できた円を青い円と呼びます。この映像からわかる通り1点から6本の線がでてきていますね。そうすると、線が重なる他の3点は、3つの円と同じ線上にあります。どうです、興味深いでしょう?これはただ円の面積がπr2(パイアール2乗)ということではなく、また丸いというだけでない、新しい発見です。
ジョンソンは、考えることをやめなかったおかげで、新しいことを発見することができたのです。

ニュートンも“学ばず”に“考えた”

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さて、もっとおもしろい話をしましょう。アイザック・ニュートンについてです。1665年、彼はケンブリッジ大学にいました。ただし、その頃ペストのせいでケンブリッジ大学は閉校していました。アイザック・ニュートンには学びの場がなかったのです。授業がなかったので、おそらく寮の中でペストから逃げ回るネコと一緒に隠れていたでしょう。
当時、彼は学ぶことができませんでしたが、考えることをやめたたわけではありませんでした。彼は、地球のまわりの月の動きを計算したいと思いっていました。
この問題を解くために微積分法、ニュートンの3つの法則、万有引力の法則、自分の研究を観察するための反射望遠鏡と光学レンズなど、学ぶことをやめた2年の間にすべてを生み出しました。
当時、ニュートンには学ぶ場はありませんでしたが、考えることで新しい法則をつくり出したのです。そのおかげで、物理という学問があるのです。
彼はおそらく優秀な学者になっていたし、成績優秀者リストに名前も載っていただろうし、教授は彼を誇りに思ったでしょう。
でももし彼が学ぶことをやめなければ、つくりだすことはできなかったかもしれません。

自閉症と診断された過去、それでも、考えることは止めなかった

ここで改めて、自己紹介をさせてください。僕は約11年前、自閉症と診断されました。細かいことへのこだわりが強く、何も考えていないように見えたのです。
まわりの人から、僕は一生学習できないし、考えることもできないし、靴ひもを結ぶことすらできないと言われたのです。
でも、その年に本屋で教科書を買い、そこに載っていたデータからケプラーの法則について考えていました。まわりからはできない思われていた時にです。
他の人から見れば、僕はまるでうまくいってないように見えたでしょう。例えばフィンガーペイントもしていなかったし、絵本の時間もなかったし、2〜4歳くらいの子どもがすることを、どれもしてこなかったのです。
そこで、僕は特殊教育クラスに入れられました。何が特殊かというと、そこには普通の教育がないのです。その間、僕は学ぶことを止めなければいけませんでした。しかしその頃、影やさまざまなことについて考えはじめました。だから今、僕は天体物理学や数学が好きなのだと思います。学ぶことをやめなければいけなかったからこそ、今の僕があると信じています。

過去の天才たちが行ったことは創造すること

ここからは引力についての話をします。ニュートンが水星の軌道を予想してから数世紀後に、物理学者たちは、彼の論理が正しいかどうかを実験して確かめました。ニュートンは、水星の軌道は長丸だと予想しました。科学者的にいうと楕円形です。しかし、望遠鏡で見てみるとこんなものが見えたのです。楕円形ではありませんね。ニュートンは間違えたのです。最も優秀な物理学者のひとりが、間違えたのです。

そこで新しい人が登場します。今までにない新しい視点で物事を考えられる人です。彼の名前はアルバート・アインシュタイン。
時代はナチスドイツの少し前だったので、ユダヤ人の彼は地元の大学で仕事に就くはできませんでした。そこで特許庁で働きはじめました。そこでは考える時間がたくさんありました。
そこでアインシュタインは、数人の友だちとトランポリンをしている姿を想像しました。友達の1人とトランポリンの上にいて、おそらくテニスか何かで遊んでいたと思います。でも彼らは物理学者ですので、動体視力が良くありません。だから、テニスボールを掴めなくて、ボールが彼らのまわりを転がったのだと思います。
彼はそれを見て「摩擦もない、これは重力だ!」と言ったのです。アインシュタインは、自分だけのユニークなものの見方で考え、この問題を解きました。ここでも彼は学ぶことをやめましたが、考えることをやめずそこから創造をはじめたのです。

方程式を窓に書くほど考え続けた

話を元に戻しましょう。僕は10歳で大学に合格しました。入学試験の面接にいったとき、駐車場の料金を払うためにたくさん小銭を持ってきました。それを部屋の中で全部落としてしまったのです。常識がないと思われたのか、1学期入学が遅れました。
僕も学ぶことを止めないといけませんでした。その間、僕はある天体物理学の問題に取り組みました。しばらく後に、その答えを導き出したのですが、まだ発表されていないので、どんな問題だったかはお話しできませんが論文が発表されたら分かるでしょう。
その時僕はたくさんのことを考えていたので、オフィス用品店で買った500枚の紙は、すぐに使い切ってしまいました。紙が無くなったので、次はホワイトボードに書きました。でも、それもすぐに埋まってしまいました。なので、窓に書くことにしました。僕の方程式は窓拭き洗剤に消されるところでしたが…(笑)。
1か月後、両親は僕が公園に遊びにいかないのは、窓に変な形を描いているからだと思いました。
公園で遊ぶべきだと両親は考え、プリンストン大学の人を呼んで僕のしていることは間違っていると話して欲しいと頼みました。でも、そうはなりませんでした。その人は僕のしていることは正しいと言ってくれたのです。おかげで公園にはいかずにすみました。

注目の的に!全米に名前が知れわたる

僕は微分積分をしたい人のために、分かりやすく説明したビデオをつくることに決めました。それを見た人は、僕が12歳でそのビデオを作ったことに気付いたのです。そこから有名になっていきました。インディアナポリス・スター社は、僕を新聞の一面に載せました。この写真からわかるように、僕がサンドイッチを食べているところを撮影されました。
その後、この微分積分のビデオが一気に広がりました。この写真が掲載された時点で、視聴者は200万人を超えていました。その後、英語以外にもたくさん翻訳されました。これが何語か教えてくれませんか?

会場:中国語!

中国語なんですね! その後、Foxテレビの人からも呼ばれました。CBSの「シックスティーミニッツ」から記者も訪ねてきました。

大切なのはIQじゃない。考え、創造すること

最後に今日、ここで話したことをまとめてみましょう。ジョンソン、ニュートン、アインシュタイン。今日の話に登場した人たちは、天才なのでしょうか? 彼らは特別だったのでしょうか? 天才だったから、歴史に残る発見をしたのでしょうか? 違います。彼らのしたことは学ぶことを、考えることや創造することに変えたのです。
彼らのIQは高かったと思います。でも、高いIQを持っていながらも、創造をしない人もたくさんいます。そういう人はだいたい、何十万桁もの円周率を暗記するだけで終わるのです。

僕は以前、話すことができないと言われましたが、ここで話しています。これをみて、当時のセラピストは発狂していることでしょう。学ぶことを、考えることや創造することへと変えることができたから、僕はここにいるのです。ニューヨークの真ん中で、400人から800人の前でこうして話しているのです。

さて、ここから皆さんにやって欲しいことがあります。今から24時間、何も学んではいけません! 代わりに何をしてほしいかというと、自分の興味のある分野について考えてください。その分野の生徒になる代わりに、自分でその分野を発掘して欲しいのです。それが音楽であろうと、建築、科学、と何であろうと考えてほしいのです。この24時間でもあなたが何か、新しいものを創造できるかもしれませんよ。ありがとうございました。

https://youtu.be/Uq-FOOQ1TpE