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引用元:2015年6月5日6時0分 スポーツ報知

 衆院は4日午後の本会議で、選挙権年齢を現行の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公選法改正案を全会一致で可決した。参院審議を経て、17日にも成立する。20歳以上の男女に選挙権が付与されたのは1945年。「18歳以上」への引き下げが実現すれば、70年ぶりの大改革となる。今回の改正に、「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹氏(68)は「遅きに失したくらい」と評価した。

 「18歳以上への選挙権年齢引き下げ」には大賛成です。遅きに失したくらい。なぜなら、日本は1994年に18歳未満が子供と定義づけた国際条約「児童の権利条約」を批准しているからです。今までが国際条約に違反していたということ。

 世界を見渡せば、170か国以上が選挙権年齢を引き下げていて、ほとんどの先進国が18歳以上に選挙権を与えています。欧州では、すでに「16歳以上に選挙権を与えるか」という議論を始めています。米国では10年ほど前に18歳の市長が誕生しました。

 しかし、年齢引き下げに伴い、多くの高校3年生にも選挙権が与えられるわけですから、学校教育が大きな課題になる。18歳までに、いかに一人前の国民にするかを念頭に、指導する。高校だけでなく、中学校からカリキュラムの変更が必要です。「あいさつしろ」「靴のかかとを踏むな」などと幼稚な指導はしていられなくなる。

 責任ある大人に育てるために「参加型教育」をしていくべきです。例えば、子供が教師と一緒になって校則を作ったり、大人と町づくりに携わったりして、自然と「社会の主役」であることを自覚させていく。過保護がまかり通る現代、大人も意識を変えていかなくてはなりません。

 酒やたばこは20歳以上、少年法により18歳以上20歳未満は実名報道されない。「保護対象者」が「主権者」になることで、どうしても権利と責任の不均衡が生じる。だから、本当は改正前に2年くらいの準備期間が欲しかった。将来的には、少年法の年齢引き下げも検討しなくてはならない。

 早ければ来夏の参院選で施行される。短期間でどれだけ子供たちの意識を変えられるか。教育現場の底力が問われます。(教育評論家)