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引用元:2015/05/07 ベネッセ教育情報サイト

またうれしい報告が私のところに届きました。何年も不登校で、中学校にまったく行っていなかった女の子が、中3の夏から学校に行くようになり、なんと!高校入試に合格。この春から高校生になったというのです。
進学先を聞いて、「え? ○○高校ですか? ホントに?」と思わず聞き返してしまいました。かなり難易度の高い学校です。「え? 3年生の途中から学校に行き始めたんですよね?」失礼ながら、質問を変えて、もう一度確認してしまいました。

「そうなんですよ! ほかの先生は『絶対無理!』と言っていましたけど、私は『大丈夫!』と思っていました」とおっしゃるのは、不登校時代から、この子をコーチングしてきた適応指導教室の先生。子どもが持っている可能性の大きさに感動を覚えずにはいられません。先生のお話を伺いながら、この快挙の成功要因を私なりに分析してみました。

  受験の先にある「夢」から考える

もともと、不登校だったAさんは、何が原因かはよくわからないのですが、「学校は怖い。高校にも行かない」と言っていたそうです。先生は、「学校に行こう」とか「高校に進学したほうがいいよ」という話をするのではなく、Aさんの夢を聴いてみることにしました。そうはいっても、最初からいきなり、夢を語れるわけではありません。
「何でもできるとしたら何をやってみたい?」「憧れていることは何?」と、言葉を変えながら、折々に質問をしました。ギターを習っていたAさんは、そのうち、「ギターを弾いていたい」と話し始め、「音楽家になるために留学したい」と言い出しました。

「留学するにはどうしたらいいのかな?」
さすが、コーチングを体得した先生です。一切否定することなく、質問によって、本人が自分で考えるよう促していきました。対話を繰り返すうち、Aさんは、「留学するためには、大学に行ったほうがいい。そのためには、高校に行ったほうがいい」と自分で思ったようです。
目先の進路のことだけを考えていると、あまり楽しい気持ちになれません。しかし、もっともっと先にある「本当はこうなりたい! こんなことができたらいいな」という気持ちに焦点を当てた時、今、必要なことに気付けるのです。
「言われるから学校に行く」「叱られるから勉強する」には、まったく自分の意思が存在しません。「自分が行きたい方向に行くため」と目的が自分のことになった時に、行動が起きるのです。目の前の勉強になんとか取り組ませようとする前に、受験よりももっと先にある夢について語り合う時間を持つことは、案外、近道で効果的なのではと思います。


  「強み」をどんどん承認する

とはいえ、ずっと行っていなかった学校にいきなり行くというのは、相当勇気がいることだったのではないかと思います。Aさんの場合は幸いなことに、クラスのみんなが、Aさんのことを歓迎してくれたそうです。ちょうど学校祭の時期で、Aさんは得意なギター演奏を披露することになったそうです。この演奏に対して、学校のみんながとても感激し、承認してくれました。このことが、Aさんの自信につながったようです。
「学校は怖い」と以前は思っていたAさんですが、こうして認めてもらえると、そんな気持ちも自然とどこかへ行ってしまったのでしょう。どんなことであれ、「すばらしいね」と言ってもらえることは、大きな力づけになります。「強み」のほうをどんどん承認していくことは、ほかの力にも影響を及ぼすのです。

子どもが本当にその気になれば、2年半のブランクなど半年で取り返してしまえることを教えてくれた事例でした。Aさんの場合、「もともとそれだけの力を持っていたのでしょう」という見方もありますが、そんな子でも、夢を聴いてくれる先生や強みを承認してくれる存在がいなかったら、不登校のままだったかもしれません。「学校に行けないからダメ」「宿題をやらないからダメ」と安易に決めつけないで、大人の想定などはるかに超える可能性をどの子も秘めているという前提で関わりたいものです。