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引用元:2015年05月11日 日刊工業新聞

 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業は30―40年続くと見込まれる。作業を円滑に進める上で重要となるのが、技術者や研究者の中長期的な確保だ。東京大学や東北大学、東京工業大学は文部科学省の支援を受けて人材育成策を検討。また日本原子力研究開発機構(原子力機構)は廃炉国際共同研究センターを立ち上げ、大学の取り組みを後押しする構えだ。廃炉作業を担う人材の育成に向けて体制が整いつつある。(葭本隆太)

  「学生には廃炉技術の基礎・基盤研究に参加させる。専門家との意見交換によって、廃炉作業を担う一員であることを意識させたい」。東北大学大学院工学研究科量子エネルギー工学専攻の渡邉豊教授はこう意気込む。同大院は原子力に関わる専攻だけでなく機械や材料、建築などを含む工学研究科と情報科学研究科などと共同で人材育成体制を構築した。

  「格納容器・建屋の安全性」などの基礎・基盤研究を手がける八つのタスクグループを設置。研究室はいずれかのグループに属し、学生は所属研究室が参加するグループの研究に携わる。廃炉措置の関心や意欲が特に高い学生は、研究補助者となる制度を設けた。審査を通じて1学年に10人程度選定する。

  東大は『T型人材』の育成を目標に掲げる。同大院工学系研究科原子力専攻の岡本孝司教授は、「Tの縦棒は専門分野、横棒は廃炉作業全体の俯瞰。例えばロボットの専門家が放射線を理解せずに作っても廃炉には生かせない。専門分野を廃炉に応用できる人材を育成したい」と力を込める。同研究科の15年度後期科目として特論を設置。福島での事故の概要や廃炉に関わる技術、リスクを講義する。

 東工大は原子核工学専攻の15年度後期の科目として、大学院で実験を主体にした授業を始める。同大原子炉工学研究所の実験施設を使い、放射性廃棄物の性状分析や、超音波計測技術とロボットを組み合わせて炉心の状態を推定する模擬実験などを行う。同大原子炉工学研究所の小原徹教授は、「将来、溶融燃料を分析する時などに必要な基本的技術を習得させたい」と強調する。

 また、文科省は廃炉作業を担う人材を育成する大学の支援を拡大する。15年度は東大や東北大、東工大に対する支援の継続のほか、5件程度を新たに選定する。5月下旬をめどに公募を始める予定だ。